【曲紹介・解釈・解説……等々】スピッツ / ナイフ

スピッツの発表したアルバムのなかでも、「オーロラになれなかった人のために」は飛び抜けて異色です。

 

収録されているのはバンドサウンドではなく、ストリングスメインの曲たち。スピッツとしての音楽の世界を広げるという目的で企画されたミニアルバムです。

 

ぶっちゃけ始めて聞いた時はどれも刺さらなかったというか、あまり印象に残らなかったんですが、ふと思い出したように改めて聞いてみると「うわこれめちゃくちゃいい曲じゃん」となり、また一つ新たな扉を開けられたような気分になったものです。今ではどの曲も好きよ。

 

というわけで本日は「オーロラ」の中から、最近僕がハマってリピートしているこちらの曲をご紹介。

 

 

『ナイフ』です。7分弱という演奏時間は、スピッツ曲の中でも最長。さらっと聞けば地味? な感じのする曲ですが、じっくり聞いてみると……。う~ん、ド変態ソング? その上文学的かつ詩的。それが殊更に変態度を高めている気がする。だってほら、文学作品って大抵変態だから。

 

歌詞はこんな感じ。

 

君は小さくて 悲しいほど無防備で

無知でのんきで 優しいけど嘘つきで

もうすぐだね 3月の君のバースデイには

ハンティングナイフのごついやつをあげる 待ってて

 

君がこのナイフを握りしめるイメージを

毎日毎日浮かべながら過ごしてるよ

 

これだけでもなんか危ない感じがしますね。君について描写される無垢で純真なイメージと、ハンティングナイフという物騒なもののアンバランスさが凄い。無骨なナイフを握りしめる少女……漫画とかラノベにありそうな人物造形です。

 

さてここで、曲名にもなっているこの「ナイフ」が何を表しているのか。最も主要な解釈を下記の通り紹介しましょう。それを踏まえて上の歌詞をもう一度読んでみてください。

 

ナイフ=男性器

 

…………ヤバない!??

 

もうド変態ですよ! 犯罪的と言ってもいい! こんなことを考えていると知られただけで警察呼ばれても文句は言えないくらいのヤバさです。自分のモノを表すのにナイフを用いているのもヤバいし、こんな歌詞の曲をさらりと切ないものに仕上げてしまっているところが一番ヤバい。

 

そんでハンティングナイフ……つまりは狩りに用いられるナイフですよ。合意の下というよりは無理やり……な構図が浮かんできます。「君は優しいけど嘘つきで」というのは、「君は本当は僕のことが好きなハズなのに、僕に冷たくして……!」みたいな感じでしょうか。早い話がストーカーです。この曲はイカれたストーカーの歌です。

 

また、このハンティングナイフをそのままナイフとして考えても良いかもしれませんね。その場合、僕は君にこのハンティングナイフで刺されたいと思っているような気がします。どちらにしてもヤバいヤツや。

 

血まみれの夢許されて 心が乾かないうちに

 

このあたりからも怖さを感じます。自分が死ぬ、君の純潔を奪う、どちらの解釈でも当てはまりそうです。

 

まあとにかく変態ちっくな曲であることは間違いないんですが、歌詞も曲も幻想的で寂寥感に満ちていて、実に美しい。昔のマサムネさんのぽつぽつとした歌い方も退廃的で雰囲気が出ています。

 

正直、地味な曲です。盛り上がりといえる箇所もないですし、さらっと聞いているとただ長い曲に思えてしまうかもしれませんが、一度その世界観に足を取られてしまうともう抜け出せません。

 

この曲(というよりこのアルバム)に浸れるかどうか。スピッツファンの1つの壁だと思います。でも好きな曲です。興味があれば味わってほしい。

 

ちなみに僕のバースデイは6月です。ハンティングナイフは別にいらないので、最新型のiPhoneが欲しいです。待ってるね。

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