【読書感想】武田綾乃 / 石黒くんに春は来ない

どうも、新人営業ぬまじり(2年目)です。だんだんと日の出ている時間が長くなってきた今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。雪はやっぱり全然降らなかったですね。仕事する上ではありがたいと思いつつも、一抹の寂しさを感じます。もうすぐ3月。季節は亜春ですね。

 

というワケで今日紹介するのは武田綾乃さんで「石黒くんに春は来ない」です。春、来ないんかい。

 

 

平積みされていたところ、カバーデザインに目を惹かれて手に取り、あらすじを読んで買ってみることにしました。これは後々知ったのですが、この作者さん、「響け! ユーフォニアム」の作者だったんですね。実は僕、ユーフォは原作もアニメも見ていないのでどんな話なのかは知らないのですが、興味が出てきたので今度見てみたいと思いました。

 

今回の「石黒くん」がどういう話かというと、”学校のクラスという閉じた世界の中で起こる人間関係”と”SNS”、そして”暴走する正義”がテーマになっているのかなという印象。

 

学内カーストの頂点に君臨する女王。その傍若無人な振る舞いに虐げられた弱者達が立ち上がり、SNSの力を使って女王に挑むという構図は、舞台こそひとつのクラス内でしかありませんが、もはや「革命」と言ってよいでしょう。正義の御旗のもとで熱狂に包まれる高校生たちの姿には空恐ろしいものを感じます。

 

「正義の味方がいないなら、自分で作ればいいんだよ!」

 

グループによって立ち位置や発言内容を180度転換させるような少年少女のなか、ある意味最後まで正直だったのが女王の久住京香だったというのもまた面白いところ。堂々たる去り方にはカッコいいとすら思わされてしまいました。現実にいたとしたら、僕が最も苦手としている人種であることは間違いないですが。

 

京香は途中まで、物語における明確な「敵」として描かれていたので、そこに挑む主人公たちに感情移入して読んでいましたが、段々主人公たちの気持ちと自分の気持ちが乖離していくのを感じましたね。

 

あと印象的なのは物語におけるトリックスター的な立ち位置にいる宇正正義。(恐らく)カバーイラストに描かれた少年です。今時スマホを持っておらず、クソがつき、もはやうっとおしいくらいの善人で、おまけに超絶イケメン。

 

「ボクは正しいことが好きだから」

 

こんなことを素で言っちゃうようなヤツ。現実世界においてもSNSにおいても、学校のコミュニティからは浮いた存在です。そんな彼だから、クラスの熱狂に踊らされることなく、物語を終着点に導くことができたのだと思います。

 

なんだかまとまりのない感想になってしまいました。一番思ったことは、やっぱり民意を盾にとった匿名の大衆は醜く、恐ろしいということですね。特に自分たちが「正しい」と思っている場合は。

 

正しさなんて所詮個々人の主観が多大に入ったエゴにすぎないと思います。クラスの皆が叫んでいたそれも、宇正が好きなそれも同様にエゴです。ですが、僕は宇正の「正しさ」の方が正しい気がします。この違いは一体なんなんでしょうか。パワポケに登場した「正義の反対はまた別の正義」だという名言を思い出しました。

 

現代の青春イヤミス系といった印象の一冊でした。面白かったです。

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