【曲紹介・解釈・解説……等々】スピッツ / フェイクファー

どうも、新人営業ぬまじり(2年目)です。今日は曲紹介のコーナー。スピッツ全曲配信解禁に伴い、試聴を貼りつけられるようになったので、紹介したい曲が山ほどあるんだよね。

 

というワケで、本日紹介したいのは「フェイクファー」です。8作目のアルバム「フェイクファー」の表題作ともなっている一曲。僕はこのアルバムが歴代の中でもかなり好きなのですが、その理由の中で決して少なくない割合を、この表題曲が占めています。

 

 

三輪さんのお家芸であるアルペジオとマサムネさんのスッとした歌声のみの、シンプルで落ち着いた感じから曲は始まります。そこからベースとドラムが一気に参入してきてテンションが上がる。盛り上がるけれど、曲を通しての印象はきれいかつ爽やかでありながらどこか寂しい、スピッツ特有の不思議な聞きごこちです。

 

僕はとにかくこの曲の歌詞が好きなんです。3分半くらいの曲で言葉の繰り返しもあるので、歌詞全体を見ると結構短いのですが、ついつい朗読したくなるような、そんな歌詞だと思います。

 

タイトルである「フェイクファー」とは英語でそのまま「fake fur」となり、偽物の毛皮、つまり「人工毛皮」と訳されます。しかし、歌詞を見てみるとキーワードとして「ウソ」「偽り」という言葉が用いられていることに気付きます。つまりこの場合は「ウソの毛皮」と訳すのが正しいのではないでしょうか。

 

また、毛皮というイメージからは温もり、暖かさ、柔らかさ、優しさなどといった言葉が連想されます。これを繋げて、僕なりに「フェイクファー」というタイトルを「ウソの暖かさ」とでも意訳してみたいと思います。

 

唇をすりぬける くすぐったい言葉の

たとえ全てがウソであってもそれでいいと

 

偽りの海に身体委ねて

恋のよろこびにあふれてる

 

この辺が件のキーワードが現れている箇所です。他にも「でたらめに道歩いた」「分かち合う物は何も無いけど」等々、とにかく本物、真実といった要素がこの歌詞には基本的に出てきません。全部偽物。

 

ちなみに上の歌詞は曲の冒頭部分で歌われる歌詞なのですが、僕はここが本当に好きで、初めて聞いたときはこの部分だけ何度も再生してしまったほどです。詩人すぎません?

 

なんとも退廃的というか、やりきれないというか、とにかく普通ではなさそうな状態なのに、それをサラリと爽やかに歌われたらもうたまんないっすね。唇を「すり抜ける」という言葉のチョイスも見事です。

 

今から箱の外へ 二人は箱の外へ 未来と別の世界

見つけた そんな気がした

 

こちらは最後に歌われる歌詞になります。この辺はうっすら怖いですよね。二人が行く箱の外は「未来と別の世界」なワケで。普通に生きていたら辿り着くのは未来だけど、そうじゃないってことは……と、またまた死の気配が近寄ってきました。だけど、「そんな気がした」だけなので、本当に見つけたワケでも無いのがミソでしょうか。

 

まあとにかく、この歌詞の語り部が普通じゃないっていうのは分かりましたし、君に騙されていると感づいていながらもズブズブにハマってしまっているのは分かりました。倒錯的な恋慕も突き詰めれば芸術となります。この曲もまさにそうなのではないか、と常々聞きながら思っております。オスススメ。

 

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