恵子は変わり者 村田沙耶香 / コンビニ人間 - ①

どうも、新人営業ぬまじりです。今日は不定期開催の読んでみたシリーズです。この前本屋に行って、平積みされていたものの中から選んで買いました。表紙買いやな。

 

 

村田沙耶香さん作の「コンビニ人間」。第155回芥川賞受賞作ということです。200頁ないくらいの比較的短編で、読みやすい文体なのでスイスイと進めることができます。

 

主人公は古倉恵子という30代半ばの女性。大学時代に始めたコンビニで10年以上アルバイトを続けています。このバイトの他に職歴はナシ。恋愛経験も皆無。変わってるなと思いましたか? 僕も思いました。そこが今作のミソでもあります。

 

古倉恵子 36歳 独身(恋愛経験なし) 職業:コンビニバイト

 

恵子は小さい頃から「変わり者」でした。こういう言い方が許されるのなら、アスペルガー症候群、もしくはサイコパスっぽい一面もあります。彼女の幼少期のエピソードを少し紹介しましょう。

 

家族の皆は焼き鳥が好き。だから、死んでる小鳥がいたら焼き鳥にしよう! と喜ぶ。

 

クラスの男子が喧嘩をしている。「誰か止めて!」と言われたので、片方の男子の頭をスコップで殴り飛ばして喧嘩を止めた。

 

こんな感じ。確かに彼女の行動原理にはちゃんと合理的なものがあります。ただ、他の人がその前に考えるもの(倫理、道徳、社会通念とでも言えばよいのでしょうか。どうなんだろ)を考慮せずに思考し、行動に移します。

 

幸いにも彼女の家族は「良い人」だったので、そんな恵子を優しく見守ってくれていました。しかし、ふとした拍子に両親や妹は漏らしてしまうのです。「いつになったら恵子は『治る』のか」と。

 

何が違うのかは分からないが、自分は自分以外の皆が所属しているあちら側の世界には入れない。

 

そんな思いを抱えて生きてきた恵子は、大学1年生の時に始めたコンビニのバイトで、「コンビニ店員」として、初めて世界の一部になることができたと感じます。

 

そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。私は、今、自分が生まれたと思った。世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった。

 

マニュアルを完璧に覚え、「コンビニ店員」として世界に誕生した恵子でしたが、「普通の人間」になるにはどうすればいいのか分からないまま、恵子は何年もずっと同じコンビニでアルバイトを続けるのでした。

 

そんな生活を18年間も続けたとある日、恵子の働くコンビニに新しいバイトが入ってきます。白羽という、背の高い痩せた男です。

 

で、この白羽という男がまた曲者。バイトに採用されてはいってきたはいいけど、まともに挨拶もしない。仕事、店長、その他バイトを見下す。でも面と向かっては言わない。遅刻も多い。女性客にスト―カー紛いの行動を取る……等々、中々の問題児。

 

作中描写を見るに、俗に言う「社会不適合者」という言葉が似合ってしまう彼がこのコンビニバイトに応募した理由は、なんと「婚活」とのこと。

 

この「コンビニ人間」という物語は、恵子と白羽の出会いによって動き出します。「動き出します」というほど、傍から見て激動の物語が繰り広げられるわけではありませんが。

 

例によって長くなってきたので、ここらで一旦切りを付け、次回へ続く……。

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